これから開業するあなたへ。食えない行政書士にならないために、開業準備は大丈夫ですか?

開業の不安

行政書士事務所の開業で不安に感じる疑問

ここでは、メールや電話で頂いた行政書士事務所の開業の悩みや不安の素朴な疑問を書き出してみました。回答は当事務所のあくまで私見です。

事務所を経営していけるか不安でたまらない

不安は誰でもありますので、逆に不安がない人の方が心配です。

「なんとかなるでしょう」と言う人に限って何も準備していなくて、なんとかなりません。
残念ながら事務所で待っているだけでは、依頼どころかお問い合わせ自体ありません。なぜなら、あなたが開業したこと、あなたが行政書士であること、そしてあなたが何をしている人なのかを誰も知らないからです。

たまに、「開業後にすぐに知人から依頼がありました。今後もやっていけそうです。」ということを聞くのですが、それは、依頼ではなくお祝いでくれたと考えてください。開業後にくれる場合は、その1回限りで、その後に継続して依頼をもらったとは聞くことはありません。

最初は実務が分からないと悩み人がいるのですが、その前に集客しましょう。集客はすぐに効果が表れるものではありません。支部の人と仲良くする、ホームページを公開する、チラシを配布する、リスティング広告を出す、これらを全てやっても「あなた」を信用してもらうのは時間がかかるのです。
お客様は、あなたを信用しない限りお問い合わせはしません。
ですので、まずは集客をして、効果が表れるまでの間、実務を学習してください。

そう、最初のうちは、あらゆる手段をとって集客してみてください。

ただし、やりたくもない飛び込み営業をしたり、FAXDMをするのは、気持ちが落ち込むだけですので避けた方がいいかもしれません。無理のない、ご自身がやっていて「楽しい」と思える方法で続けてください。

所属する支部の先生方と仲良くするのも楽しいですし、チラシのデザインやコピーライティングをあれこれ考えながら配るのも楽しいです。せっかくご自身でやりたいことをするのですから、楽しい集客をしましょう。

行政書士として安定的な収入を得られますか?

個人事業主で開業することを考えると、最初のうちは安定を求めるのは難しいかと思います。
サラリーマンをしながら構想を練って、ある程度準備もできて、「さぁ、あとは実行するだけ」というならまだしも、「事務所開業=スタート」では、どんなに営業が得意でも最低1年~2年はかかるものです。

支部の人のお話で、「3年目に入ったところで鳩が肩に留まってふんをしたんだ、それから依頼が舞い込むようになった」なんてことをおっしゃった先生もいますが、鳩が留まったから依頼が来たという事ではありません。それまでの宣伝が功を奏したのです。

結果はすぐに出るものではありません。いろいろ試行錯誤しながら、うまくいくことを手探りで探りましょう。ひとつ実行してだめだったら、次を実行すれば良いのです。そして継続的に収入が得られそうな事業をしていくのです。

行政書士の実務経験がありません

そんなの当たり前です。独立開業する前に行政書士事務所に勤務していたとか司法書士事務所で補助者をしていたなら問題ありませんが、みなさん最初は当然『初めて』です。

最初から上手くできることはありません。申請をして「ヒヤッ」とすることは数えきれません。上手くできてもそれはたまたまかもしれません。
今後、依頼をこなしていくうちに、「なんでこんな間違いをしたのだろう」なんて思う事なんて数えきれないくらい経験するかもしれません。

まずはご自身がお客様になったつもりで、例えば建設業許可や運送業許可、農転などの申請書を自分で書いて作成してみてください。そしてどんなデータや証明書が必要なのかを一つ一つ確認するのです。申請書さえ自分で作ったこともないのに、「実務がわからない」と言っているだけでは前に進みません。まずは、自分で申請書を作る。これから始めてください。

また、失敗、間違いを怖がっていてはそれこそ何もできません。
失敗しても相手の話を聞いて、調べて、先輩に聞いて、小さな間違いを繰り返してやってみてください。きっとそのうち自信もついてくるでしょう。あれこれ先輩に聞くことでコミュニケーションも広がります。支部との先輩との関わりも深くなれば、もし疑問が生じた時に気軽に質問できるようになります。実は、これって凄く大切なんですよ。

経験がなくて不安ではなく、経験はこれから積むのです。

先が見えないなんて、こんなにワクワクすることはありません。

業務は何をすればいいの?

例えば①やりたいこと、②やってみたいこと、③できそうなことを探しましょう。
でも、行政書士になろうと思ったきっかけもあるでしょうから、優先するのはまず行政書士になってやりたかったこと。せっかく行政書士になるのですから、夢を実現するのも良いかと思います。

あとは、闇雲にあれこれやっても仕方がありませんので、多くても3つぐらいを目安に業務を選定しましょう。

まず、ぜひ専門分野の業務に入れてほしいお勧めは、許認可業務です。しかし、私もそうですが、よく身近なことだからと相続を最初の業務にする人も多数います。ですが、残念ながら相続は依頼が一回きりのことが多く継続が見込めません。また実感として紹介もそれほどありませんし、弁護士、税理士、司法書士、金融機関、葬儀屋さんも同じような業務をしています。競合も激しいですし、なかなか集客するのは難しいかもしれません。

ただ、近所に「私は行政書士ですよ」と知らせるために「相続相談しています」というチラシを撒くのは良いかもしれません。個人宅に「建設業許可申請は当事務所へ」なんてチラシを撒いてもしょうがないですから。

支部の行政書士の先輩に質問してもいいの?

まずは所属している支部の人と仲良くなりましょう。

新人のうちは実務が分からない、そんな心配をしている人がほとんどです。
ですから、最初は分からない事ばかりですので、安易に答えてしまうと取り返しがつかないことになります。そのようなことが起きないように、お問い合わせがあったら内容を確認して「折り返しお電話します」と一旦保留にし、支部の先輩先生に相談し、自分で整理したのち電話をしましょう。

でも、お問い合わせがあったからと言って、いきなり知らない先生に質問してもダメなのは当然のことです。前もって、「この先生は尊敬できそう」と思った先生の事務所訪問をするなり、研修会や懇親会で顔見せしておくなどが必要です。

実際に全く面識のない新人さんから電話が来てあれこれ手続きについて聞かれたという年配行政書士さんもいます。その年配行政書士さんは相当その時の印象が悪かったらしく「○○という奴がいるんだけど、あいつは全然話したこともないのに電話であれこれ聞いてきたんだ」って怒っていました。いや~、怖いですね。

ただ、それは稀なことだと思いますので、大概の支部の先生方は知っている後輩や新人さんから質問があれば、忙しすぎる状況を除いて無下に断ることはありませんよ、きっと。

集客は何から手を付ければいいの?

開業にあたり、お客様を獲得するには、主に次のことから準備してください。
まずは業務とターゲットを絞ってください。
そして以下のことを実践して、事務所とあなたが行政書士であることを知ってもらう。

  1. チラシからのお問合せの獲得
  2. 知人、友人、支部の先輩先生から紹介
  3. ホームページからのお問合せの獲得
  4. Yahoo!やGoogleのリスティング広告

最初のうちは「行政書士で何ができるの?」と聞かれたら「何でもします」はつい言ってしまいがちですが、「何でもします」は自信のなさの表れと思われてしまい、あまり良い結果は生まれません。

お勧めは、建設業許可申請です。行政書士の代表的な仕事の許認可申請ですのでぜひ。

それでチラシを準備する上で、 「●●でお困りで●●したいと考えている●●地域にお住まいのあなたへ」 など、業務とターゲットを絞ったチラシを作成して配布してください。

またチラシに加え、リスティング広告で宣伝するなど、とにかく事務所を宣伝することです。

でも残念ながら最初は考えている程、問い合わせや依頼はきません。特にホームページは、方向性を間違えるとせっかく作ったのに役に立たない ことになります。ましてやクチコミなんて開業当初ではありえません。

例えば、いきなり「ホームページを見ました。建設業許可申請をしてください」などという申し込みは絶対にくることはありません。ですので、無料相談で一度お会いして、その後に数回アプローチし、あなた自身のことを信用してもらい、そしてようやく依頼してもらう。こんな感じがよろしいかと思います。

成功している人も、きっと「開業していきなり成功した!!」ということは、あまりないと思われます。地道に、そして継続して宣伝していくことが必要と考えています。

役所勤務の経験しかないですが、集客できますか?

現役公務員の方ですと、一つ大きな問題があります。それは、ほとんどの人が「営業経験がない」と言うことです。

行政書士は、許認可手続きなどの書類作成が商品と思われがちですが、実は「あなた自身」が商品なのです。ですので、とにかくご自身が「行政書士」であることを地域の人に知ってもらう必要があります。

顔写真を掲載してホームページを作成するのは当然のこと、さらにリスティング広告で宣伝する、笑顔バッチリの顔写真付きのチラシを毎月地域に配る。これを繰り返します。

よく勘違いしている人がいらっしゃいますが、「営業=飛び込み営業」ではありません。ホームページを公開する、チラシを配布する、これらもれっきとした営業なのです。
そして、依頼したいと思っている人にあなたが信頼されなければ、お問合せすらきません。

特に公務員の人は皆、私もそうでしたが最初はチラシやホームページに顔写真を掲載することも躊躇します。私が今まで相談を受けた公務員の人のほとんど皆さんがそうでした。
しかし、それは致し方ないことです。役所の仕事でではそんなことをすることはありませんので。

でも、行政書士になったら、顔写真はもちろん、過去のことも話さないといけないこともあろうかと思います。全てをさらけ出して、あなたのことを信頼してもらう。そしてお問い合わせをいただき、依頼してもらう。生活していくには、これしかないのです。これができないとすぐにアルバイト生活になります。

厳しい言葉が続きますが、まず、最低1年間は仕事が来ないことは覚悟してください。
依頼がきてもせいぜい10,000円程度の車庫証明が月に2,3件ぐらいです。
これを覚悟しなければ開業はお勧めしません。

お客様から依頼されるには?

ホームページを公開したからといって、次の日から依頼がバンバンくることはありません。チラシも3,000枚撒いてぜいぜい1件か2件のお問い合わせでしょう。そもそも「いきなり」お客様を獲得できることはありません。

ホームページを公開して、リスティング広告をだし、チラシを市内に撒けるだけ撒いて、あなたが行政書士であること、そして事務所を宣伝します。さらに相続や許認可申請の無料冊子を配って、ようやくお問い合わせを頂きます。その後、何度もアプローチして、あなたを信用してもらい、そこで依頼へと結びつけます。

お客様を獲得できるかの結果だけを気にしていると、たぶん獲得できません。ひたすら宣伝し信用してもらう。もちろんお問い合わせがきたら丁寧に対応し、会ってもらう。

獲得できるか、できないかは、実行してみないとわかりませんが、もしチラシを撒いてダメなら、次は・・・、そして次は・・・、更に次は・・・と次々と実行していきましょう。
そのうち自然と電話がなる回数が増えてきます。(たぶん、きっと)

ホームページを公開したら依頼がきますか?

よく、こんな話を聞きます。「インターネットで集客したいから、自分でホームページを作ってみました。」

まぁ、ご自身でホームページを作る努力はすばらしいですが、開業したばかりですと、正直、「ホームページを公開したからといって仕事の依頼がバンバン入ってくることはありません。」なにか過度な期待や幻想を抱いているのではないかと心配してしまいます。

ホームページは決して打ち出の小槌ではありません。そのホームページ、1日の閲覧人数は何人ですか?ホームページに問い合わせをしたくなる仕組みは施してあるのですか?リスティング広告は出しているのですか?ブログはしているのですか?メルマガは?

先日、あるホームページを作ってほしいという人にお話をしました。その人は、私と会う前日に大手のホームページ制作会社の営業さんと話をしたそうです。ですがその営業マンは、その会社のホームページで公開したらアクセスが多いだのSEO対策も十分なされ、ビックキーワードで検索上位に来るとか言われたそうです。でも基本料35万円で毎月2万5千円を要求されたそうです。しかもカスタマイズするには別料金だそうです。

値段はさておき、でも、考えてみてください。そんな夢のような話があるわけないです。もしホームページを公開して、そこから労せずして依頼がきたら、廃業する行政書士なんて存在しません。今時、ホームページを公開するのは当たり前です。競争相手は山ほどいます。ですので過度な期待は禁物です。

私の場合、「ホームページを作ってほしい」と電話で連絡してくれる人には、概ね伝えています。

「ホームページを公開したからといって、いきなりそこからバンバンお問い合わせがくることはありません。まずはホームページとともにブログを最低100件書いてみてください。そして必ず継続してYahoo!とGoogleのリスティング広告を出してください。まずはそこからスタートとなります。ブログ書けますか?リスティング広告は出せますか?」

ですので「ホームページを公開すればお問い合わせがきますよ」とか「ホームページは24時間働く営業マンだから直ぐに依頼がもらえますよ」なんてリップサービスは残念ながら言いません。

それで中には「じゃ、ホームページなんていらないんだ」と言って電話を切ってしまう人がいますが、そうではなく、「ホームページは必ず必要ですが、残念ながらそれだけでお問い合わせがきたり依頼がバンバンくることはありません」ということです。分かってもらえるでしょうか?

ホームページには、お問い合わせをしてもらう仕組みが必要ですし、その後のブログ発信やメルマガ発信なども欠かせません。見込み客を集めるツールの一つで、決して打ち出の小槌ではありませんので、十分ご理解の上、ホームページ制作の対策を練ってください。

効率的にお客様を獲得するには?

お客様を効率的に集める方法ですが、私が皆さんに薦めているのが、建設業許可申請や相続などの小冊子を作って、ホームページで無料ダウンロードしてもらうことです。
そのかわり、メールアドレスを教えてもらい、見込み客を集めます。その上で、定期的にメルマガを発行し、あなたのことを知ってもらい信用してもらいます。
その後、お問い合わせを頂いたら、「相談→依頼」をしてもらうのです。

ただ、楽して儲けるとか、直ぐに儲けたいと考えているのであれば、それは難しいかと思います。地道に継続して集客していくしかないのです。

残念ながら、お客様はいきなり依頼はしてきません。必ずお問い合わせからです。
それはなぜか?
それはあなたのことを信用していないからです。

もし、効率的にお客様を集めたいなら、まずは見込み客を集めて、あなたのことを信頼してもらうための「売る仕組み」が必要です。

名刺交換を山ほどしても、ホームページを公開しても、チラシを配布しても、それだけではお客様は集まりません。集めるには「仕組み」が必要なのです。その一つの方法が先ほどお伝えした「小冊子を無料配布」です。一度試してみてください。でも小冊子を作るのも結構大変ですよ。

ホームページやブログでお客様を獲得できるの?

ホームページに限っていえば、作り方次第です。
あなたのホームページを観て、「私の悩みを解決してくれそう」と感じればお問い合わせをしてくれる可能性が高まります。

残念ながら、単なる事務所紹介のホームページをいくら公開しても依頼どころかお問い合わせすら来ません。ですので「あなたに依頼したら私の悩みを解決してくれそう」と伝わるホームページを作りましょう。

ブログは、ホームページへの導線の役目です。

→ブログであなた自身のことをアピールして、この人なら私の悩みを解決してくれそう

→じゃ、ホームページを観てみよう

→問い合わせをしてみよう

こんな感じです。

他の行政書士があまりやっていない業務ってあるの?

たぶんニッチな業務のことを言っていると思いますが、ニッチな業務を見つけても、依頼する人の絶対数が少なければ意味がありません。
ですので、あまりやっていない仕事というより、あなたの得意分野でサービスの質を厚くする方が依頼者も喜びます。

例えば、単に遺言書作成の依頼で単に遺言書を作るのではなく、遺言書の質問と回答の小冊子を作って遺言書の作成と一緒にプレゼントするとかです。

正直手間がかかりますが、その分、他の行政書士ではなく「あなたにお願いしたい」となり、のちの反応は違います。
また、これにより信用が増し、知人を紹介されたりします。

ですので、ニッチな業務をあれこれ探すよりも、あなたに依頼するメリットを考えましょう。そのほうがお客様は集まります。

行政書士の年収はいくら?

直球勝負のご質問ですが、こればかりは想像におまかせします。人の年収を気にしても仕方ありません。あなたが生活費としてどれくらい必要なのかを考えて、開業したら「○○百万円稼ぐぞ!!」と目標を掲げたほうがよろしいかと。

人の年収ほどあてにならないものはありません。「年収は○○百万円です」と言ったとしてもそれが本当か嘘かは知り得ません。

また、他人の年収がいくらであろうとあなたには関係ないのです。「あの行政書士が1億円稼いだ」と聞いても、同じことをして同じ額を稼げるかというとそうではありません。

では、年収が「1千万円」と聞いたらどうしますか?その人の真似をしますか?その人が飛び込み営業をして1千万円稼いだと言ったら、飛び込み営業するのでしょうか?
また、年収が「10万円」と聞いたら、「あーやっぱり。行政書士なんて食えねぇよ!!」と勝ち誇るのでしょうか?

そうそう、年収いくらと聞く前に、「開業したら○○万円必要だから○○万円貯めよう」と考え、○○万円貯めてください。開業後は、もしかしたら年収0円になるかもしれませんよ。